兵庫県道309号福住三田線

兵庫プチ遠征シリーズ第三弾である兵庫県道309号線。
国道173号線よりの山間部はもはや林業でしか使われていないのではないかと思えるほどで、さらに奥の方は未成道区間で舗装はおろか通行すらできるかわからない。
今回は時間の都合もあるため未成道区間以外を探索してみようと思う。

事前調査

場所は兵庫県三田市で、国道173号線の橋を北上したすぐにある分岐点だ。


終点は同じく兵庫県の丹波篠山市にある県道12号の分岐点だ。

なお、事後調査でもちょろっとだけ触れるが、実際の終点はここではなく、県道37号の途中から再びはじまる県道309号の先だ。

起点と終点だけを地図で見る限り、通常の生活道路といった雰囲気だが、実はこの県道、未成道区間が存在しており、国道173号線寄りの山間部は実質車両通行不可だ。

Google Mapでは当然のことながら道路判定がなされておらず、ナビ案内を付けてもここを通ることはまずないだろう。
しかしながら、この区間も歴とした県道であり、地理院地図でもしっかりと県道の色付けがなされている。
本当に通行することができないのか、あるいは舗装されていないというだけで通行は可能なのかどうか、見所である。

ついでに探索した兵庫県・大阪府道 601号 杉生能勢線兵庫県道 538号 籠坊温泉線を経て兵庫県プチ遠征最後の探索である。

探索開始

国道173号から

開始は国道173号から県道309号に入ったすぐのところだ。
国道173号はそれなりに交通量と車両の速度があるのだが、ここに入ると一気に静かになる。
車はおろか、歩行者ですら誰一人いない。
入った瞬間国道を走っていた自動車の波も無くなったから本当に異次元にいる気分だった。
奥の施設もどうやら本日は営業?していないみたいだった。


ちなみに国道173号側は斜めに接続するタイプの三叉路だ。
右折すると丹波篠山市の福住の街中へ向い、左折すると天王峠を左目にして大阪へ向かうことになる。
国道173号は南下する形(写真で見ると左側が登る)で傾斜しているため、結構巡航速度がある。
右左折には要注意だ。


何らかの施設を左手にしたところだ。
目の前に見える橋は国道173号で、県道309号はその下を走る形となっている。
地図ではここに十字路でもあるのかと思っていたが、このように橋で立体交差する。
一瞬入る場所ないのかと焦ったが、無事見つけることができた。
しかしながら、後ろから高速で迫ってくるトラックがいて肝が冷えた。


橋の下から振り返っての撮影。
道幅はこの先が不通だとは思わせない広さだ。
実はこれにも理由があるのだが、これは後の機会に。


全体を取っていなかったためややこしいが、橋を超えてそのまま直進するとこの道に繋がる。
ここは県道309号ではないが、やけに広いし道幅としてはこちらが県道309号かと思ってしまう。
にしてもだいぶ荒れてるな・・・。
天王峠とつながっていると予測していたし多少は使用感あるだろうと思っていたものの、農耕地もあるしここまで荒れるもんか?


で、当の県道309号はこちら。
うっそやろ・・・?道が急に一車線レベルになった。
入り口から若干難を感じていたが、これはますます感じてしまう。
これは完全に農道レベルだ。


いざ県道309号へ

前回の撮影地からしばらく進むと森へと導かれる。
これは既に知っていたが、いざ目にするとちょっと不安になってしまう。
県道なのだから通行しても良いはずだが、林業の方達に怒られやしないか・・・?


入って早々険の予感が・・・!!
轍は新しく、今でも交通があることが伺えるが、それにしてもこれは県道には見えない。
しかしながら、周りの木々は放置されている風は一切なく、こまめに手入れがなされているようだ。
未成部分がある上に家が一切ないため林業の関係者以外利用者がいないのだろう。


するとなにやらログハウスのようなものが左手の上の方に現れた。
現役っぽい見た目だが、ベランダというのか、その部分の床が完全に抜け落ちていた。
いつか崩れてきそうだな・・・。


うお!?現役の作業場が出てきた。
やはり林業での往来が現在でもあるようだ。
奥の車両は放置車両ではなく、普通に人がいた。
今回は未成区間を探索する予定がないのでこの先についてあえて聞かなかった。


一瞬ダートになったと思ったらアスファルト舗装が戻ってきた。
ここは1.5車線ほどの幅があり、見た目以上に広い。
実は森の入り口もこれくらい広さはあったのだが、左右の落ち葉などで実質1車線状態になっていた。
ここにきて初めて県道っぽい雰囲気が出てきた。


・・・と思ったらこれだ・・・。
忙しすぎるぞこの県道!!
左右の堆積は最近できたものではなさそうで、結構年季がはいっているようだった。
しかしながら、轍は結構新しいもののようで、やはりここも関係者の往来があるらしい。


今度こそはマジで1車線になった。
しかも左右の荒れ具合がすごい。
これは台風などの自然災害がもたらした崩落だと思われる。
林業には詳しくないが、わざわざこんなに荒れるようなことはしないだろう・・・。


と思ったのも束の間、未成区間に到達してしまった。
ここは広場のようになっていて、ここで小休憩することにした。

で、当の県道はこの先かというと、実は違うのだった。
じゃあどこだよって話だが、それは事後調査で述べようと思う。

本当はこの先も探索したかったが、昼に出てしまったために時間が結構押している。
さすがに夜の山をライト一つ持たずに突っ込むのは自殺行為だ。
しかも相棒はオフロード走行が得意ではない。
後悔が残るが、今回はここで引き返して反対側を確認しよう。


振り返るとこんな感じ。
ゴミ捨て禁止の看板が比較的きれいだったのにボコボコなのがとても印象的だった。
林業用に駐車スペースになっているのか結構広い広場である。
ところで、入り口の坂に細い丸太が敷き詰められているのは普通車のタイヤでも登れるようにだろうか。


最近めっきり撮らなくなったが、砂防ダムもしっかりと完備されている。


県道538号から未成区間へ

県道538号の探索をついでに行った後に再び県道309号へ舞い戻ってきた。
場所は県道538号の起点で、県道309号との分岐点にある橋を渡ったところだ。



反対川の県道309号は先ほどの林道とは大違いで1.5-2.0車線くらいあるだだっ広い綺麗な舗装路だった。
この差は一体なんなのか・・・。
おそらく居住地があるかないかの差だと思うが、ここまで差があるとちょっと笑ってしまう。


田畑が見えてきた。
まだ山間部とはいえ、田畑があるのは近くに居住地がある印だ。
なんやかんやで県道309号では初の居住地だ。
といっても県道538号ですでに居住地はあったのだが。


県道309号にて初の居住地の登場だ。
廃墟っぽい建物が全く無く、珍しくほとんどの家が現在でも稼働しているようだった。
ちなみに、右の方に見えるのは「くろかわ」という完全予約制のそば処らしいが、探索当時は休業していた。


少し登ると道が平坦になった。
相変わらず田畑が多く、景色は大して変わらないが、奥の方に不穏な人工物が見える・・・。


んんん〜〜〜???封鎖されてるぞ〜〜???

ゲートは金属製で左右にも金網がきっちりと覆っており、結構厳重に封鎖されている。
しかしながら、施錠はされておらず「開放厳禁」としか書かれていないため特に通行の規制はされていないと見ていいだろう。
林道でよくある獣対策のゲートだ。

このまま中に入って探索と行きたいところだが、時間は予定よりも1時間押しているため、断念してここで引き返すことにした。
この先こそ一番の目玉なのだが、致し方ない・・・。
ここまで国道173号から県道601号に県道538号と地味に遠かったため結構疲れてしまった。


再び県道538号から直進

県道358号の起点まで戻ってきた。
ここからは県道12号まで抜けて帰るだけであるため、正直なところ消化試合だ。
未成区間を見た後にだと目が肥えてしまってただの普通の道路に見えてしまうのは私だけではないはず。


とはいえ、あまり状態のいい道路とは言い難い。
二輪にとって落ち葉は死活問題だ。
小型以上の二輪では端っこを走らなければいいだけなのだが、原付だと端っこを走らざるをえないため、滑って重大事故なんてことは結構起きていたりする。


カーブを曲がるとなにやら廃墟といっていいのか、廃テニスコートがあった。
こんなところでテニスするやついたのか・・・?
旅館に泊まってる合間にやるのだろうか、にしても微妙に遠い気もするが・・・。


広くなったり狭くなったり道幅が安定しない。
こういった山間部の低級一般県道は往々にしてこういうところが多い。
とはいえ交通困難というわけでもないのが道路設計のすごいところだ。


川の対岸に施設があった。
池があったためなにかの養殖だと思うが、そこに至るまでの道が完全に川と化している。
四輪車ならまだしも、二輪や徒歩は滑るんじゃないかこれ・・・。


謎の施設からこれから進む方向を向いて撮影した。
ここは離合スペースなのか若干広がっていた。


再び人の香りと終点

心当たりありすぎる。
傍から見たら少し進んでは停止し、携帯カメラで周囲を撮りまくるのは明らか不審者だろうな・・・。


人家が見えてきたところで今回の探索の終わりが見えてくる。
探索後の人家というのは何とも言えない寂しさを感じてしまうが、これから私は2, 3時間かけて帰路につかねばならない。
しかも次の日は同じく長時間ツーリングである。
さすがに夜遅くなる前に帰りたい。


ここで福住三田線の早期開通を願う立て看板が見つかった。
そこ福住三田線じゃないんだけどな・・・。
揚げ足取りはやめにして、実際に開通されればこの辺りに住む人たちの苦労はいくらか改善されるだろう。
山間部に入ってから店という店が何一つ無いんだよここ。


いよいよ県道309号の終点だ。
いや、実際は終点ではないため今日の旅の終点と言っておこう。
ここを右左折すると県道12号に入り、直進すると県道37号の後途中で県道309号が復活する。
県道37号と供用区間だったりするのかな?
現状調査の予定はないので今回はこれで帰路に着こう。


事後調査

実際の県道309号の軌跡

県道309号の未成区間手前にある広場から振り返って撮影したものだが、当の県道309号は実は広場手前の山に突っ込むルートだった。
情報だらけで申し訳ないが、赤丸で示したところが現在地の広場で、矢印が撮影している方向だ。
地理院地図では青矢印で示した方向に徒歩道として県道が示されているが、探索当時は道だとは思いもしなかった。
地図を見れば当たり前だが、事前調査ほぼなしに突っ込むと絶対に見誤るこれは。
広場に入ってすぐに見える林道のほうが県道だと思っていたために写真一枚すら撮れていなかったのが悔しい。
ちなみにだが、この先にある未成区間は地理院地図によると原峠というらしい。
これだけでもう予感してしまうが、一部区間は多分無くなってるだろうな・・・。

と思ってGoogleマップの航空写真を見ると...

なんか道っぽいのあるで・・・!!?

お次は地理院地図の原峠の標準地図だ。
木で隠れてしまっているが、大体の線形はあっているだろう。


更にストリートビューで広場前まで来てみると

道ありますね・・・。
しかも自動車道かと思ったらガチの徒歩道じゃねえか。
徒歩道は1.5メートル未満の道路に用いられる地図記号(地図記号:徒歩道 | 国土地理院)で、私の知る限り県道指定されてるようなところだと軽自動車でもギリ通れるようなところが多いのだが、ここはそれすら受け付けない真の徒歩専用道路だ。
奥の方は自動車でも入れる幅員はあるが、ほんの1mほどだけが・・・。
より一層この道に対して興味が湧いてきた。
それはそうとして夏ってこんな鬱蒼としてるのか、奥の倒木といいまじで不気味だ。

よく見たら現在も同じ橋だった。
埋め込まれた丸太といい、県道が全く目立っていない。
多分誰も通ってないんだろうな・・・。

しかしながら、航空写真を見る限り奥のほうは自動車通行可能なくらい広いようで、ゲート側に轍があったことからおそらく奥は普通に広いのだと推測できる。
県道じゃない方の林道は普通に自動車通れそうな幅あったし。
ますます気になるところだが、あいにく探索できていないため次回に持ち越すことにしよう。

開通の話

県道309号は現状林業ともう片方の住居者以外使い道がないのだが、早期開通を願う看板があるように、この県道が開通すれば交通の便はかなり改善されるだろう。
県道538号は左右に住宅があることから拡幅は難しいだろうし、元々広い県道309号をそのまま完抜して山間部を拡幅するほうがよっぽど現実的である。
それに北東に進んで国道173号へと繋がるため、北上する場合はかなりショートカットできる。
見た感じコンビニもなかったしGoogle Mapで見ても「ローソン 篠山安田店」が最寄りであるし、多分行くとなればそこになるだろうから開通を願うのもよくわかる。

しかしながら、県道601号および県道538号の交通量を見ると、自動車で24時間で543台というデータがある。(道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス))
500台も通ってるのかと驚きもあるが、特に交通量が多いわけでもない。
実際に走った際は停車中の軽トラを除いて1台としか出会えなかったわけだ。
整備するメリットは大いにあるが、交通量と予算の都合が見合うかどうかだろうな。
私としても未成区間を整備した新しい県道309号の姿を見せて欲しいので開通されたらぜひ見に行きたい。(もちろん未成区間をこの目で見てからで...)


始点がやたら広いという謎

もう一つの謎に県道309号の起点がやけに開けていて林道区間との道幅のギャップが激しいことだ。

これは県道309号と天王峠へ向かうもはや廃道になっている部分が国道173号の旧道にあたるからだろう。
これは地理院地図の旧航空写真からでも伺える。
なぜか地理院地図の航空写真が1974-1978年しかなかったが、十分だ。

※AonaSuzutsukiにより加工
1974年には現在の国道173号の橋はないし、県道309号の橋の下あたりと国道の廃道区間は全く同じ線形をなぞっている。 つまり、国道173号の旧道が役目を終えたと同時(同時かどうかはわからないが)に一部が県道へと降格したのだった。
そのため国道173号の現道と、橋の下までの短い区間だけがやけに広い道幅だったのだ。

※AonaSuzutsukiにより加工
廃道区間を少し進んだところの対比も。
これは国道173号の旧道で間違いないな。

また、1978年の旧地図を見ても同様に天王峠から県道309号の部分が国道指定されている。
よく見ると新道の橋が途中まで表記されているが、この年代から付け替え工事が行われていたようだ。
新道も思った以上に古い道だったのか。
詳細な理由は不明だが、単純に交通量の増加や自動車の大型化により天王峠の交通が困難になってきたのだろうと推測できる。

実際に通行止め区間以外の旧道を走行してみたが、路面状態がいくら綺麗でもここのカーブと狭さは明らか酷道である。
ここなんて一番狭いところで、現代の大型の普通乗用車ですら離合は困難だと思われる。
最近めっきり見なくなった警笛鳴らせの規制標識もあったりとにかく酷道マニアには垂涎ものだが、もし通過しようと考えている猛者はそれなりの覚悟はいる。
ちなみにだが、県道309号と供用する旧国道は通行規制もされていないため一応現役の道である(天王峠は通行禁止看板とゲートで封鎖されている)。
奥にある農地はあまり使われてなさそうだったし道は廃道レベルで荒れているため多分事実上の廃道だと思うが。



最後に、探索後に気がついたが、県道309号は三田市にもあった。

なんでどちらも丹波篠山市なのに三田線になってるんだと思ったら離れたところにいやがった。
こっちは特に見どころもなさそうなので今の所探索の予定はない。

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