入り口は車道と思わせる出で立ちだが、その奥はバイクですら通行が困難なほど狭隘で鋭角カーブ急斜面が目立ち、そもそも激藪で通行不可な有様である。
明らか徒歩道であるが、幅員の増減がなんとも気持ちが悪い道であった。
事前情報
場所は国道163号線の木津川市加茂町井平尾にある分岐である。
旧道にあたる部分にあるため、気が付かずに通過してしまうことがほとんどかもしれない。
私も探索当時に偶然通りがかって偶然見つけたくらいで、案内板なども一切ない。
そういう道こそ興味をそそられるってなもんで、蜜につられる虫のごとく吸い寄せられるのであった。
探索開始
始まりと終わりのギャップ
2018/11/11
毎度お馴染みのカブで走っていると偶然分岐点を発見した。
直進すると国道163号線の丁字路(実際は十字路なのだが直進路がもはや存在しないほど荒れている)となり、左へ逸れると問題の道へと繋がる。
こう見るとそれなりに大きな自動車でも入って行けそうな出で立ちをしており、国道163号線を潜って抜ける道か、あるいは河川敷へ降りるための道かと思っていた。
こういうよくわからない分岐は大好物だ。
...入った途端これかよ。
道路幅としては自動車でも余裕で通れるが、左右の草が明らかに自動車での利用がないことを物語っている。
ちなみに季節は真夏ではなく、秋である。秋(もうほぼ冬)でこの草の量である。(夏場はどうなるんだろ)
しかしながら、真ん中は草の侵食はなく、意外にも通行はあるのだろうか。
高架下までやってくると急に道幅が徒歩道レベルに急変する。
どうやら河川敷へ降りるための道ではなく、国道163号線を抜けるための道のようだ。
ガードレールも古びておらず、整備されてからあまり月日がっていないことがうかがえる。(おそらく橋と同時に整備された?)
なんかすごいことになってるよ。一面が全部草。
ここまではそれなりに人の往来があるように見えていたが、どうやらそうではなかったらしい。
草のせいであまり見えないが、この先も高架下と同様にコンクリート舗装されており地面が陥没していたり剥がれているといったものはなく、割と綺麗な状態である。
草さえなければ普通に通行ができるほど舗装状況は良好である。
道幅もそれなりにあるように見える。
と思ったがただの見間違いだった。
入ってすぐに右側が開けるが、上にある道への傾斜となっているだけで道幅自体は奥に進むにつれてむしろ狭くなっている。
2年越しに写真を見つけて執筆しているわけだが、写真だけを見てもはっきり言ってどうなっているのかさっぱりわからない。
おそらくこの先はヘアピンカーブとなっているはずだが、草木のせいで全くその面影は感じられない。
唯一あるとすれば、傾斜が緩くなっていることだろうか。
草木をかき分けて(実際は避けて取っただけだが)カーブのところまでくると、ガイドポストが一本だけ備え付けられていた。
明らか自動車が通れない規格の道に見えるが、おそらく自転車や懐中電灯を持った歩行者向けのガイドポストだと思われる。
この辺りは街灯が一本もないため夜間になれば真っ暗になるだろうし、その状態でここ(草木がなくても)を通行するのはかなり危険である。
一体全体どうやったらここまで荒れるんだ・・・。
この写真が一体どこを撮ったのかすら記憶していないとわからないのも面白いはなしだ。
おそらく時系列とポールがあることからヘアピンカーブのところを撮ったのだと思われるが、写真を数分眺めてやっと気がつくほど。
いまいちわからないかもしれないが、ガードレールとポールの隙間は軽自動車ほどあるのだが、カーブのキツさが尋常ではなく、傾斜もそれなりにある。
そして高架下の狭さからも自動車の進入は不可能だろう。
カーブ付近からもう一度上を向くと国道163号線はもうすぐそこだ。
しかしながら、順当に道を辿ると思うとすぐそことは思えないのが正直なところではある。
坂を登ったところでヘアピンカーブへ向いてみた。
本当にここに道があるのか、と思えるほど激藪と化している。
こんな激藪を通ってきたわけもなく、当然の如く横の傾斜から登ってきた。
私は通ってきた身であるため当然知っているが、国道163号線を通るドライバーや歩行者たちで気がつく者はどれほどいるのだろうか。
ちなみに、右側にも道があるが、こちらは一応道として機能しているようだ。
といっても林業関連の道だと思うが、一応地理院地図にも途中まで道として表記されていた。(当然今回通った方も道として描かれていた)
道の正体
いったん引き返してバイクを取って再びやってきた。
え?実はさっきの写真も登ってきたんじゃなくて元から引き返してたんじゃないかって?....そうだったかもしれない。
今の私でもあの激藪に突っ込むとは到底考えられない。(それにガードレールもあるし)
そんなことはさておき、ここから見るとやはりキレイに整備されているようで、ガードレールも焦げ茶色のものが用いられている。
ガードレールは今だに白いものが多く残っているが、2004年(平成16年)より白色ではなくこのような焦げ茶色などの色が用いられるようになった。
つまり、この道は少なくとも2004年以降にできたものである。
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン(案)」の策定
及びパブリックコメントの募集について
そして、この橋は「菜切橋(なきりはし)」という名前で、竣工年は2010年3月(平成22年3月)である。
振り返ると「湾漂山トンネル(わんびょうやまトンネル)」の坑門が大口を開けて自動車を待ち構えている。
こちらは2008年11月(平成20年11月)に竣工しており、いずれも国道163号線の付け替え工事で新設されたものである。
不覚にもいずれの銘板も写真を撮り忘れてしまった。
道路特殊改良1種事業 国道163号(井平尾バイパス)
旧道は写真から見て橋の左隣あるのだが(これもまた撮り忘れた)、大型トラックが通るには少々幅員が狭く大型トラック同士の離合が困難な場面が多々あった。
直線ならまだ良かったのかもしれないが、旧道は山を迂回するような線形なためカーブが連続しており、ドライバーは気が気じゃなかっただろう。
当時の貴重な動画がYoutubeにあったため、こちらも合わせて見てもらえるとよくわかるだろう。
国道163号線 湾漂山トンネル旧道の現役時代
普通に狭い。
トラックでなくても大型のファミリーカーで走るのもあまり快適ではなかっただろう。
そして、今回の主役の道は新道の開発当時には存在しなかった。
やはり新道と同時に竣工されたと見て間違いない。
橋が出来上がるまでは道は作らないだろうから、2010年前後と見て良いだろう。
調査不足感が否めないが、結論としてはおそらく歩行者や軽車両が旧道へ向かうための道として作られたのだろう。
反対車線には歩道は設置されておらず、歩行者が旧道へ行こうと思うとこの道を渡ることになる。
しかしながら、国道163号線は交通量が多く、平日24時間に15,322台(平日24時間交通量(平成17年度道路交通センサス))も通るのだそう。
実際に現地で見てみるとわかるが、ひっきりなしに自動車が両側から通ってくるため、ここを渡って反対側まで行くのは現実的ではない。
かといって信号機をつけるほど旧道の交通量は多くないだろうし、その最適解が橋の下を通る徒歩道なのだろう。
ただ、今だに疑問なのが徒歩道として作ったのならどうして初めの分岐点は自動車が入れるほど大きく作ったのだろうか。
このような道は日の目を見ることはほぼないため、やはり情報を探すのが困難で永遠に謎のまま終わりそうだ。
探索当時はこのような有様だが、現在は刈り払いが行われている可能性も考えられる。
この道が放棄されるのは流石にないと思えるし、旧道をチェックついでに近いうちに再訪したい。
再訪
菜切橋下
2020/10/14
再び橋の下へ降り立つとそこには本来の道の姿が復活していた。
さすがに棄てられた道とは思わなかったため驚きは少ないが、よくあの草木を刈り払ったものだ・・・。
やはり軽トラならギリ通れるサイズだが、あのヘアピンカーブは・・・無理だな。
国道163号を渡るための徒歩道がFAでいいのではないだろうか。
国道163号 旧道
あまり関係ないが、ついでに国道163号の旧道もチェックしておこう。
とにかく草が多すぎてもはや道があったことがぱっと見ではわからない。
中へ入ると歩道の名残が残っているが、アスファルトは完全に土で覆われていてそれ以外に遺構がない。
フェンス外には親柱っぽいものが残されていたが、銘板などは発見できず。
とにかく藪が濃すぎて近く気にもならなかったのでこのままスルーして対岸へ。
戻る途中に川を見ると橋台っぽいものが。
もう完全に自然と同化してしまっている。
対岸は道の名残が鮮明に残っているが、かつての威厳はどこにもなかった。
ところであの奥にある粗大ゴミのようなものたちは不法投棄なのか?
フェンスには電気柵があったりとにかく居心地のいい場所ではなかった。
対岸にも親柱が見られたが、名盤はやはり読み取れず。
川の名前「和束川」ははっきりと見えたが、反対側のおそらく竣工年は全く読み取れず。
電気柵らしいから不用意に触りたくないのでこれ以上は深追いしない。