万博記念公園横に眠る未使用道

万博記念公園横に眠るかつての遺構。
街中で見られる人工物と自然が混ざり合う非常に美しい景色。
かつて人が行き交っていたであろうこの道だが、今では一台も走行することはない。
そんな美しくも寂しい景色をご堪能あれ。

事前調査

発端は「大阪で廃道ってないのかなー」と思ってググっていたところとあるブログ(大阪・万博公園の廃道)に行き着いたことだった。
大阪にもこんなところあるのかーと思ってその時は閉じて「通行止めでも関係なし、土砂崩れの樫田2号線(執筆中)」に向かった。
しかしながら、この間知り合いから万博記念公園の桜の写真を見せてもらい、これは(例の廃道へ)行くしかないと急遽向かうことに。
場所は大阪府吹田市の万博記念公園側にある府道129号線沿い。


とりあえず地図を表示させてみると、驚くことにしっかりと道が記されている。(グレーになってるので多分通行は不可設定) もしかしてと思ってストリートビューで確認すると残念ながら(?)しっかりと封鎖されていた。
一応ユーザ投稿の写真もあるものの、橋の上からのものしか存在しない。
上記のブログでもなんの道かまではわからなかったようで、これは実地で調べるしかなさそうだ。

また、こちらはおそらく万博記念公園の敷地内ということで廃道ではなく未使用道と表記する。

実地調査

進入を固く拒む未使用道

とりあえず現地へやってきた。
情報通り厳重に封鎖されている。
あまり目立たない場所にあるため素通りしてしまいそうだが、しっかりと道が見えた。

とはいえ、封鎖されている上に近くにバイク置き場がないため潜入は一筋縄では行きそうにない。


地図を見て近場の駐車場へ行くもテニスコート専用のようで結局万博記念公園中央広場まで着いてしまった。
ここに止めてアプローチしようと思ったが、有料だということを知らずに門の前で泣く泣く撤退・・・。
公園を散策するのであれば250円くらい払うのは構わないが、用事は公園じゃないのでここはケチっていきたい。


そんなこんなで目的地までなんとか辿り着いた。
源気温泉 万博おゆばの駐車場入口前だ。
簡易ながらこちらもしっかりと封鎖されていた。


今もなお残り続ける遺構

さて、早速潜入していこう。
車の通行は禁止されているが、徒歩での通行や自転車は禁止されていないようだ。
こういうところはひと目が気になるものだが、ここに関しては堂々と入っていくことができる。


薄っすらと道路標示が残っていた。
何を示していたのか今となっては読み取ることはできない。


バスターミナルっぽいところ。
今は水道工事の資材置き場として利用されているもよう。
一時的だと思うが、普段は何に利用されているのだろうか。


資材置き場からのカーブの先。
こう見ると今でも車が走ってそうな雰囲気がある。
田舎の温泉施設だとこんな感じだよね。


ここから下りに入る。
奥のほうが完全に自然に帰ろうとしている。
本当に街中なのかと疑いたくなる景色だ。


入って数分、もう行き止まりが見えてきた。
数時間前はあのバリケードの奥でこちら側を眺めていたのだからなんだか不思議な気分だ。


終点。
ただ単にゲートがあるだけだと思っていたが、鉄パイプのカンヌキがされている。
鍵があるようにも思えないので勝手に開けるのを防止しているというよりも風防止だろうか。


反対向きに一枚。
初めに見た景色はこれだ。
府道の方を見るとさほど荒廃しているようにはみえないが、こちらから見ると結構廃道感がある。


橋の上は現役歩道

駐車場側の土手から歩道に出てみた。
こちらは草はあるものの駐車場と繋がっているので利用者はそれなりにいそうだ。


橋の方までやって来た。
橋は見ての通り手すりもそれなりにキレイで、奥の方には歩道橋がある。
ここは撮影中に一人見かけたので普通に利用者がいるようだ。


端にあった案内板。
駅があるようなので公園から駅に向かう人(あるいは反対)がこちらを利用するのだろう。


橋の上はめっさキレイ
奥に行くと公園に繋がる。


橋の上から見た未使用道。
橋と未使用道のギャップがすごい。
何も知らずにここ通ると若干不気味かもしれない。

万博記念公園前の公園


万博記念公園手前の公園だ。
こちらはブランコがあったりごく普通な公園だった。
というか奥にバイク停まってる・・・ここに停めてよかったのかよ!!


左に曲がったところ。
ここからどうやら記念公園の敷地のようだ。
っていうか万博記念公園って警察が管理してるの?


橋から見た府道129号線。
こちらは現役道だけあってめちゃくちゃキレイ。

ところで、この橋で撮影してると平衡感覚がないというか、微妙に揺れる。
体調不良かと思って公園側に戻ったら何ともないので橋がゆらゆらしてるみたい・・・。
橋には詳しくないのですが、こういうものなのだろうか。
ちょっとだけ怖かった。


自然文化園の出入り口。
もう受付は終わってるのかそもそもこちらではやってないのかシャッターは閉まっている。
*後日見ると普通に券売機があった。


再び未使用道へ向かう。


さて、元の地点へ戻ってきた。
今回の探索はこれで終了です。

かなり短かったが、過去には大勢の車が行き交っていたと思うとなんだか寂しい感じがする。
温泉施設として使うだけだとこちらの道は不要だったのだろう。
栄えた街中というだけあって雰囲気のギャップが非常に良い環境を作り出している。
車両の通行は禁止されているが、徒歩の進入は禁止されていない珍しい廃道(未使用道)だった。

事後調査

結局実地調査でもなんの道なのかさっぱりだったが、一つだけ重要な収穫があった。
今回は資材が置いてあったが、バスのロータリーっぽい場所だ。
実際にバスのロータリーなのかどうかはわからないが、こういう場所があるということは何らかの車道として使用されていたと考えられる。
自宅に帰ってからいろいろ探してみたものの、それっぽい文献は一切見つからず。
全く見つからないのでここは文字ではなく地図で状況を予測してみよう。
あくまで私の憶測なのでもし正しい文献などがあればご報告いただけると非常にありがたい。
なお、地図はウェブで過去の地形図や空中写真を見る (Leaflet版)を基に地理院地図から取得し、結合して作成した。


時は飛んで、1975年代の航空写真。

駐車場として利用されていたようだ。
見えづらいが、車のスペースが白線で記されている。
万博が終了してから5年経っているが、開催当時と何ら変わりない姿だと思う。
今回の未使用道は草木もなく、かなりきれいに整備されている。
また、歩道橋や駐車場までの歩道はあるが、道の上に掛けられている橋はまだ作られていない。

次は1980年代の航空写真。

この時期も駐車場として利用されている。
今回の未使用道もかなりはっきりと残っている。
この時期からは橋がかけられており、現在と同じ形になっている。

次に1985年代の航空写真。

万博が終了してから15年、この年から少し形が変わっているが、駐車場かなにかとして利用されていたらしい。
駐車場にしては停めづらそうだしもしかしたらステージか何かだったのかも。
見た感じ今回の道も整備されているように見える。
最後に現在の航空写真。

詳しい年代はわからないが、既に温泉施設ができているため数年前あたりのそこまで古いものではないと思う。
また、ターミナルっぽいところには車が止まっているがこの時は駐車場として利用していたのだろうか。
もしかするとこの時期もまだ利用されていたのかもしれない。

過去から現在(大体)までの航空写真を見てきたが、この道はおそらく駐車場へ入るための道として利用されていたのだと思われる。
初めは府道がこちらを通っていたのかとも思ったが、場所が悪すぎるし、当時から府道(府道かどうかは不明)はあった。
とするとアクセスできるのは駐車場しかなく、そこに入るための道としか考えられない。

以上からこの記事では駐車場のために作られた道として〆たいと思う。

ただ、バスターミナルっぽいところは何に利用されていたかはわからなかった。
バス停っぽいものは1975年の航空写真にあるが、確定できるものではない。
現在もそれっぽいものがあるものの向きは外向きだ。

写真の前にある道路は現在歩道として利用されているが、バス停だとしたらこっちの可能性のほうが高い。

また、航空写真では駐車場としても利用しているようだが、温泉の出入り口の方に薄っすらとバリケードっぽいものも見える。
関係者用として温泉側の簡易バリケードを避けて入っていたのか、それとも府道129号線側から入れる時期もあったということなのか、謎は深まるばかり・・・。
もしご存知の方がおられましたら当時の状況を教えていただけると非常にうれしい。

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